← 人妻・秦嵐の飼育日誌

第2章第二章 面接十分

夜嵐 · 2257文字 · 日本語

水曜の午後一時五十六分、鉄道職員住宅3棟1号口の前。古い団地で、六階建て、エレベーターなし。階段の入口に電動バイクが三台積み重なっている。私はあの短いワンピースに黒のパンスト。ワトソンズで買った浪莎の20デニール、三足入りで49.9元。中には何も着けていない。

一時五十八分、ノックする。二回叩いたところで、ドアが開いた。

老周は想像より背が低かった。百七十そこそこ、角刈りで白髪まじり、青いジャージにスリッパ。手にストップウォッチを握っている。古いタイプの金属ケースで、陸上競技場でコーチが使うのとまったく同じだ。四十八歳、顔にこれといった表情はなく、コーチが選手の八百メートル走を見るような目で私を見た。

「靴を脱いで、入口に置け。玄関マットの上に跪け。頭を下げろ」

灰色の綿の玄関マットで、「出入平安」と文字が入っている。その上に跪く。ワンピースが短いから、膝がじかに「平安」の二文字を踏む。彼がストップウォッチを押した。カチッ。

「名前は」「秦嵐です」「名前を訊いてるんじゃない。ここで何と呼ばれるかを訊いてる」私は黙った。「わからないなら、わからないと言え」「わかりません」「メス犬だ。ここではお前はメス犬だ。もう一度答えろ」「メス犬です」

「顔を上げたな」と彼は言った。「一回」私は頭を戻し、彼の足元を見つめた。ビーチサンダルで、足の爪がきれいに切り揃えてある。

彼は下駄箱の上からノートを取った。ハードカバーの青いやつ。開いて、ペンが紙の上を走る。「秦嵐、33、看護師長、人妻。面接」書きながら読み上げる、出席でも取るみたいに。「結婚何年だ」「八年です」「旦那の仕事は」「外科医です」「月に何回だ」「……一回です。ない月もあります」「自分で弄るのは何回だ」私は黙った。「答えないなら減点だ」「週に二、三回です」「今週は」「四回です」彼は書き込んだ。

「ワンピースをまくれ」私はまくった。「もっと上」腰までまくり上げる。黒いパンストが太腿にぴんと張りついて、股のところだけ色が少し濃い。それが何なのかは自分でわかっている。彼はしゃがまず、立ったまま見ていた。二十秒くらい。

「濡れてるのか」「濡れてます」「何が濡れてる」「……私が」「お前の何だ」「私の、下が」「はっきり言え」「私のおまんこが濡れてます」その言葉が口から出た瞬間、膝の下の二文字がいっそうきつく食い込んだ。

彼は腰をかがめ、二本の指でパンストの上から股を押した。太い指で、指の腹にタコがある。体育教師が何年も鉄棒を握り続けてできたやつだ。一度押されると、パンストが張りついて、ひやりと冷たい一面になった。「来る途中から濡れてたのか」「車を停めたときからです」「『メス犬は車を停めたときから濡れてました』と言え」「メス犬は車を停めたときから濡れてました」「『私』は何回使った」「わかりません」「四回だ」

彼は立ち上がって、手をジャージのズボンで拭った。「服を脱げ」ワンピースはかぶりタイプで、下からまくり上げて脱ぐと、おっぱいがぶるんとこぼれ出て、二回揺れてから止まった。彼は片手で左のを下から持ち上げ、重さを量るように上下させた。市場で魚の重さを確かめるみたいに。「Gじゃきかないな」「85Gです。きついんです」「『私』は」「言ってません」「『きつい』と言ったな。何がきついんだ」「……メス犬のブラがきついです」

彼は乳首をつまんで、外へ引っ張った。引っ張られて上半身が前にのめり、膝がマットから浮いてまた落ちる。「脚」と彼は言った。「一回閉じた」私は脚を開き直した。さっきと同じ幅に。

「指輪」彼は私の左手を見た。プラチナの指輪を、八年間一度も外していない。「面接では外さなくていい。受かってから考える」彼が乳首を放すと、乳首のまわりに歯型みたいな指の跡が一周残って、ゆっくり元に戻っていった。

「看護師長は病院で何人管理してる」「十四人です」「ここでは何人だ」「……ゼロです」「ゼロ、何だ」「メス犬が管理するのはゼロ人です」「違う。メス犬は人を管理しない。メス犬は管理される側だ」彼はノートにまた一本線を引いた。

ストップウォッチがカチッと鳴った。彼はちらりと見た。「十分。立て、服を着ろ、帰れ」

私は顔を上げて彼を見た。「不合格だ」と彼は言った。「顔を上げたのが三回、『私』が七回、脚を閉じたのが一回。帰れ」

「それだけですか」「それだけだ」「じゃあ私……」「また言った。八回」彼がドアを細く開けると、階段の風が吹き込んで、おっぱいに当たった。乳首が痛いほど硬くなった。

ワンピースを着るとき手が震えて、頭を通すのに二回かかった。靴を履く。背後でドアが閉まった。音はしなかった。彼はドアを静かに閉める人だった。

階段を下りる。三階で、野菜を提げて上がってきたおばさんにちらりと見られた。見られたのは脚だった。車に着くと二時十三分。カローラは団地の外の路肩に停めてあって、車内は日に焼けて四十度を超え、ハンドルが熱い。エアコンはつけなかった。

シートをいちばん後ろまで下げて、手をまっすぐパンストの中に突っ込んだ。股のところを無理に広げたからパンストがギチギチ鳴って、破れた。穴が空いて、そこから指が入る。おまんこの中はびしょびしょで、触れた途端に指を伝って垂れ落ち、シートまで流れた。

指二本、速く、間に合わないみたいに。頭の中にはひと言だけ。「はっきり言え」。私ははっきり言った。脚をハンドルの下に突っ張り、かかとでフロアマットを蹴って、腰を反らせる。ハンドルが押されて、クラクションが一回鳴った。

三十秒。私はハンドルに突っ伏して喘いだ。パンストの穴は太腿の付け根まで広がっていて、49.9元の三足のうち一足がだめになった。

帰り道にもう一度車を停めた。自宅マンションの入口の駐車スペースで、もう一回イッた。今度は指を三本使った。

四時に帰宅。陳立はいない。洗った白衣がたたんでソファに置いてある。ワンピースとパンストをゴミ箱に捨てて、また拾い上げた。パンストは捨て、ワンピースは残した。シャワーの下に立って湯をいちばん熱くし、おまんこに当てた。十分当てても、まだ濡れてくる。

六時半、陳立から電話。「晩飯食べた?」「まだ」「俺は医局で弁当食べるから、待たなくていい。今日、夜勤明けで寝られた?」「寝た」「ならよかった」十九秒で切れた。彼は私が午後に何をしていたか訊いたことがない。八年間、一度も。

マーラータンを頼んだ。幅広春雨を二人前追加。半分食べたところで跪いた膝が痛くなって、ソファに座って脚を伸ばした。膝には「平安」の二文字が押しつけた赤い跡がまだ残っていた。

夜八時、陳立からメッセージ。「術後の血圧が安定しない。今夜はつきっきり」私は「うん」と返した。

ソファに座って、両脚を閉じていた。スマホが光った。フォーラムからだ。ストップウォッチのアイコン。

「面接不合格。理由:顔を上げた三回、『私』と言った八回、脚を閉じた一回、服を脱ぐとき報告しなかった。評:乳がでかい、汁が多い、口が強情。頭の半分がまだ看護師長のまま」

一分空けて、もう一通。「来週水曜二時。方眼ノートを一冊持ってこい。一ページ目に書け、なぜ来たいのか。一ページ埋めろ。来たくないなら返信は不要」

返信しなかった。彼の『ノートの書き方』を開き直して下へスクロールすると、コメント欄に「日誌には何を書けばいいですか」という質問があって、彼が答えていた。「何をしたか、何時か、何回か、誰を思い浮かべたか。気持ちは書くな。気持ちは数に入らない」

返信しなかった。美団を開いて、近くの文房具店。晨光の方眼ノート、A5、5.8元、配送料3元。注文した。

九時二十分、配達が来た。ビニールを破いて一ページ目を開き、ペンを方眼の上で二分間浮かせたままにした。一行目に「5月31日 水曜」と書いた。二行目にはこう書いた。

「私は十分跪いて、帰された。顔を上げたのが三回。帰り道に二回車を停めた。一回は指二本、一回は三本。思い浮かべていたのは、彼の『はっきり言え』。夫は当直で、帰ってこなかった」

書き終えて読み返し、その行の「私」に線を引いて消し、「メス犬」に直した。直し終えると、パンストはとっくにないのに、裸の脚をまたきつく閉じた。